子供に英検5級を受けさせようと思ったとき、合格率や合格点は気になりますよね?
結論から言うと
英検5級は正答率6割強で合格でき、合格率は約80%
と推測されます。
今回は英検5級の合格率や合格点、英検CSEスコアについて、様々な角度で分析してみました。
15分ほどで読めますし英検合格のためにすべきことなどもわかるので、ぜひご一読ください!
英検5級の合格率

英検5級の合格率は、結論から申し上げますと以下の通りです。
「100%確実に言い切れる合格率はわからない。しかし80%程度が合格していると推測される」
合格率が言い切れない理由は、英検を企画実施する日本英語検定協会が2015年を最後に合格率を発表しなくなったからです。
英検に合格率を問い合わせても、以下のようなメールが返ってくるだけで合格率は教えてもらえません。

一方、過去の合格率および英検CSEスコアの採点方法などを参考にすることである程度の推測は可能です。
80%程度が合格していると考えられる根拠は次項よりご説明しますが、英検5級は合格率が高く基本的には「ポイントさえ押さえれば受かりやすい」試験と言えるでしょう。
英検5級の小学生・中学生の合格率

英検5級を受験している小学生・中学生は、どの程度合格しているのでしょうか。
英検5級の合格率や受験推移など、英検にまつわる数字から英検5級を見ていきましょう。
英検5級の小学生の合格率

先ほども申しあげた通り、現在英検の合格率は公表されていません。
合格率が発表されていた2016年度以前のデータを見ていくと、大体80~82%程度の合格率であったことがわかります。
合否判定方法が変わった2016年度以降も、この合格率はあまり変わっていないものと推測してよいでしょう。
その根拠は以下の2点です。
- 2016年以降に大きく変わったのは合否判定方法であって試験内容ではない
- 各級ごとのCan-Doリスト・審査基準は2016年以降も大きな変化がない
2016年以降に大きく変わったのは「合否判定方法」であって「試験内容」ではない
2016年第1回から合否判定は英検CSEスコアを基準に行われるようになりました。
※英検CSEスコアの詳細はこちらをご参考ください。
単純な総合点ではなく、各技能の正答数をもとに4技能それぞれに算出されたCSEスコアの総合計で合否判定されるようになったのです。
これによりライティングが全然ダメでもリスニングで満点をとれば合格…といったことができなくなり、英語4技能のバランスが求められるようになりました。
ただ英語4技能が求められるのは3級からであり、英検5級の場合はリーディング・リスニングの2技能についてそれぞれスコアが与えられ合否判定されます。
英検の級が上がれば上がるほど、各人リスニングが得意、ライティングがいまいち…といった技能ごとの得意・不得意に幅がでてくるものですが、英検5級という英語初心者の試験で「極端にリスニングが得意でリーディングが不得意」といった差異はあまりでません。
2016年以前・以降を比べても試験問題自体に大きな差があるわけではありませんし、以前の5級受験者でリスニングにフォーカスして満点をとり、リーディングは0点だったけど合格した…という人が大量にいたとは考えづらいです。
つまり5級の場合2016年以前の合格者もそれ以降の合格者も、英語能力自体に極端な差異はないと考えられます。
各級ごとのCan-Doリスト・審査基準は2016年以降も大きな変化がない
さらに各級のCan-Doリスト・審査基準は2016年以前もそれ以降もほぼ変化がありません。
【5級】
程度
初歩的な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。
審査領域
読む:初歩的な語句や文を理解することができる。
聞く:初歩的な語句や文を理解することができる。
話す:初歩的な内容についてやりとりすることができる。
書く:初歩的な語句や文を書くことができる。
英検5級審査基準より引用
2016年以降合否判定方法は変わったものの、英検5級合格者に求められる能力は変わらないと言えます。
つまり5級の場合2016年以前に合格した人はほとんどが2016年以降の基準でも合格するであろうことが推測できます。
結論として「2016年以降も5級の合格率は80%ほど」と言えるのです。
小学生の英検受験の状況

小学生以下の受験状況は以下の通りです。
2021年度 | 461,154人 |
2020年度 | 325,390人 |
2019年度 | 408,957人 |
2018年度 | 414,502人 |
2017年度 | 401,787人 |
コロナの影響で2020年に受験者数が減ったものの安定して40万人を超える受験者数を誇っています。
大人の英語検定に関して言えばTOEICにおされ気味な英検ですが、幼児~高校生あたりまではこれからも安定した人気を集めると推測されます。
大学入試優遇・単位認定をしている学校は483校にのぼり、その中には一橋大学やお茶の水大学といった一流国立校も含まれているからです。
またTOEICと違い英検は各級で異なる難易度のテストになっていること、ビジネスシーンでの知識なども求められないことなどより、子供の英語学習の進捗確認のためのマイルストーンにもぴったりです。
新学習指導要領の浸透による志願者数の増加について
小学校5,6年生で外国語活動が必修化された2011年と2015年の志願者を比べると、以下の動向が見えてきます。

学年が下がるごとに受験者数増加率は増えており、1年生にいたっては増加率55%!
英検の注目度がわかります。

また小学生の上位級受験者が増えており、小学生の英語レベルがあがっていることが推測できます。
2011年の新学習指導要領をきっかけに、英検への関心が高まっているのがわかりますね。
英検5級の中学生の合格率

こちらも日本英語検定協会英検の公式発表はありません。
しかし中学生の合格率はかなり高いものと推測できます。
なぜなら英検5級にでてくる文法項目は、2011年の新学習指導要領導入を受け2020年に全面実施された5年生・6年生の「外国語科(≒英語)」で網羅されているからです。※
日本英語検定協会英検は、英検5級中学校初級レベル=中学校1年生レベルと発表されているものの、文法面で言えば小学校6年生で既習済みのレベルと言えます。
また英検5級の単語レベルは600語と言われていますが、小学校で学ぶ単語数は600~700語となっており、こちらも英検5級合格に充分な単語量です。
英検5級にはリスニングや長文などもあり必ずしも5級=新学習指導要領の小学生5・6年レベルとは言えませんが、中学1年生で英語の授業がちゃんと理解できているのであれば合格は十分可能でしょう。
※日本英語検定協会英検は、各級に求められる文構造及び文法事項については明らかにしていません。
上記の根拠として中国学園の論文を参考にしました。
肯定の平叙文 Bill has three cats. 5級レベル 小学校へ移行
否定の平叙文 Emi doesn’t like baseball. 5級レベル 小学校へ移行
肯定の命令文 Walk slowly, please. 5級レベル 小学校へ移行
否定の命令文 Don’t run here. 5級レベル 小学校へ移行
・・・その他5級文法範疇が小学校への学習領域に移動・・・
~中略~
この度の学習指導要領改訂で中・高等学校で学ぶ総語彙数は3000語程度(中学校1200
語,高等学校1800語)であったものが,小・中・高等学校を通じて学習する高校卒業レベルの総語彙数で4000~5000語程度(小学校600~700語,中学校1600~1800語,
高等学校2000~2200語)へと大幅に増加している。
小・中・高等学校の新学習指導要領で扱われる文構造及び文法事項-英検各級レベルとの比較-より引用
中学生・高校生の英検受験の状況

中学生・高校生の受験状況は以下の通りです。
2021年度 | 3,026,585人 |
2020年度 | 2,911,389人 |
2019年度 | 3,049,342人 |
2018年度 | 2,964,666人 |
2017年度 | 2,803,213人 |
毎年度300万人前後が受験しており、安定した人気を誇っていることがわかります。
特に注目したいのが高校生の受験状況です。

高校生の英検受験・合格率ですが、この結果について日本英語検定協会英検は以下のように結論づけています。
英検受験状況速報より引用
- ⾼校卒業レベルの2級よりも上位級である、準1級ならびに1級の受験者数の増加率が⾼い。
- 2級以上の上位級での合格率が上昇しており、特に、最上位級である1級においては5割弱の合格率を⽰していることから、⾼校⽣における、⼀次試験で評価される3技能(RLW)の英語能⼒が著しく向上している。
- 1級、準1級、2級の⼀次試験(RLW技能)において、⾼校⽣の合格率が上昇している。⼆次試験(S技能) の合格率は昨年とほぼ同じであるため、⾼校⽣の英語の4技能(RLWS)が、バランス良く向上したと考えられる。
2011年度に「外国語活動」が小学校学習指導要領で正式に導入され10年以上がたち、小学校から英語を学んできた世代の英語レベルが確実に上がっていることがうかがえます。
小学校で5級・4級、中学校で3級・準2級、高校で2級・準1級というのが当たり前の時代になるのかもしれませんね。
英検5級の合格点|英検CSEスコアでの判定

ここからは英検5級の合格点についてご説明します。
2016年以降合否判定には英検CSEスコアが用いられるようになり、単純に何問以上正解すれば合格というものではなくなりました。
しかし過去の正答率と合格率などを鑑みて、以下のような推測ができます。
英検5級は「英検CSEスコア満点850点中419点獲得」で合格だが、419点をとるためには「正答率約6割」が必要
この根拠について次項よりご説明します。
英検5級の合格点は何点?

英検5級は「英検CSEスコア満点850点中419点獲得」することで合格できます。
「英検CSEスコア」は、ユニバーサルなスコア尺度CSE(Common Scale for English) を英検の各級で表記したものです。英検CSEスコアであなたの英語力を客観的に評価します。英検CSEスコアを参照することで、今の英語力や伸長度がひと目で分かります。
日本英語検定協会英検CSEスコアとはより引用
2016年第1回試験より、英検CSEスコアをもとに合否が判定されるようになりました。
英検CSEスコアは各技能の正答数をもとに技能別に算出されます。
リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4つの技能スコアを合計することで合否判定される※ため、リスニングがダメでもリーディングで点数を稼いで合格…といったことが不可能になりました。
※5級の場合リーディングとリスニングのみ。
英検CSEスコアはCSEを指標に算出されるため、その計算方法は1問1点といった単純なものではありません。
そのため「英検CSEスコア満点850点中419点獲得で合格」とは、単純に正答率5割程度で合格というものではない点に注意が必要です。
英検5級は何問正解で合格?何割できれば合格?

こちらも日本英語検定協会から「正答率何割で合格」という明確な基準は示されていませんが、
「正答率6割強で合格」
とほぼ断言できます。
推測の根拠は以下の2つです。
- 日本英語検定協会のコメント
- 日本英語検定協会が発表している英検CSE2.0スコア確認システム
日本英語検定協会のコメント
まず日本英語検定協会のコメントですが、以下のメッセージを公式HPで確認することができます
正答数の目安を提示することはできませんが、2016年度第1回一次試験では、1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています。
英検スコアの特徴より引用
すでに公式が「各技能6割強程度の正答率」で合格していることが多いと言い切っているのです。
英検CSE2.0スコア確認システム
もう1つの根拠が日本英語検定協会が発表している「英検CSE2.0スコア確認システム」です。
これを使えば2005年度から2015年度までに受験した成績を、英検CSE2.0に置き換えることができます。
試しに2015年度以前の成績をCSEスコアに置き換えてみましょう。
一次成績(素点)/CSE換算 リーディング | 一次成績(素点)/CSE換算 リスニング | CSE合計 合否判定 | |
---|---|---|---|
2015年度1回目 | 15/267 | 15/153 | 420 合格 |
2015年度1回目 | 14/259 | 15/153 | 412 不合格 |
2015年度1回目 | 15/267 | 14/144 | 411 不合格 |
2014年度1回目 | 15/285 | 15/133 | 418 不合格 |
2014年度1回目 | 16/294 | 15/133 | 427 合格 |
2013年度1回目 | 15/268 | 15/138 | 406 不合格 |
2013年度1回目 | 15/268 | 16/150 | 418 不合格 |
上記はあくまで試験結果の1部でしかありませんが、リーディング・リスニングパートともに25問構成であることを考えると、基準となるのは6割の15問正答であることが見えてきます。
リーディング・リスニングパートともに6割の15問正解なら試験回によっては合格する可能性あり、どちらも6割強の16問正解ならほぼ確実に合格すると言えるでしょう。
英検5級は簡単?何歳レベル?

ここまで英検の合格率などを詳細に見てきましたが、結局英検はどの程度のレベルで何歳くらいから受けるのが良いのでしょうか。
結論から言うと
- 英検5級は小学校5・6年生レベルで小学生も充分に合格可能
- 英検5級は4年生からがおすすめ
です。
英検5級は小学校5・6年生レベルで小学生も充分に合格可能

英検5級にでてくる文法構造は小学校5・6年生が学習するのと同等のかなり基本的なものであり、単語をしっかりおさえれば高得点が狙える試験です。
さらにその単語も600語レベルといわれており、これは新学習指導要領でうたわれている小学校で学習する単語レベルとほぼ同じでもあります。
つまり英検5級の中学生の合格率でもご説明した通り、英検5級は小学校5・6年生が学習する内容とほぼ同等です。
日本英語検定協会英検は英検5級を以下の通り中学校初級レベルとしていますが、実際は英検5級は小学校5・6年生レベルで小学生も充分に合格可能と言えます。
推奨目安:中学初級程度
英語を習い始めた方の最初の目標。
日本英語検定協会各級の目安より引用
家族のこと、趣味やスポーツなど身近な話題が出題されます。
英語の基礎固めに最適です。
スピーキングテストも受験可能です。
英検5級は4年生からがおすすめ

英検を英語学習にどのように活用するかで適切な受験級は違ってきますが、個人的には英検5級は小学校4年生~をおすすめします。
なぜなら小学校4年生になれば「文脈を読み取る」力も充分ついており、英語を「理解」し「文脈として捉える」ことができるようになるからです。
単語さえおさえれば低学年でも英検5級は合格できないこともありませんが、使える英語・将来につながる英語力をつけたいならやはり機械的な単語学習ではなく、文脈を理解することが大切です。
この根拠としては以下の記事で詳しくご説明していますので、ぜひご一読ください!
英検5級合格のためには?

英検5級は合格率約80%と、決して難しい試験ではありません。
しかし対策なしで子供、特に小学生が英検に合格することはできないでしょう。
英検5級合格のために行いたい対策は以下の4点です。
- 英検5級レベルの単語をおさえる
- リスニングのポイントをおさえる
- マークシートに慣れる
- 英検5級の問題形式を理解する
単刀直入に言うと…英検5級は5級レベルの単語を音を含めて暗記すれば高確率で合格します。
リーディングパートは基本的に単文で構成されたシンプルなものがほとんどのため、単語が理解できれば内容がつかめてしまうためです。
リスニングパートも同じで基本は単文で構成されていますし、ポイントをおさえれば答えを見つけるのも比較的簡単です。
ポイントとは疑問詞・質問文の形式にあった返答をすること。
5級レベルででてくる疑問詞は基本how,what,when,where,whoの5つです。
whenから始まる疑問文なら時間などにかかわることだと理解できますし、Is this~?のYes,Noで答えられる疑問文ならそれに準ずる返答が答えになります。
とはいえ自分で対策をたてるのは大変なもの。
オンライン英会話の中には英検対策コースをもっているところもあり、ポイントをおさえた英検学習ができます。
単語学習も講師と一緒に行うことで正しい音が入ってきますし、どんな風にその単語が使われるのか理解しやすいです。
英検5級対策ができる子供オンライン英会話については以下の記事をご覧ください。
まとめ

各級ごとに難易度が変わる英検。
TOEICやIELTSなどと違い英語初心者レベルでも受験しやすく、小学生・中学生の英語学習のマイルストーンとしてぴったりです。
また入試優遇などが受けられる高校や大学もたくさんあり、多くのメリットもあります。
オンラインでも英検対策をしながら英会話も学べるところも増えてきていますし、子供の英語教育の目標・モチベーションに、英検を取り入れてみてください。
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